映画『木の香』のストーリーは、山奥で人目を避けるように木工工房を営む男の元に、ある過酷なニュースが届くことから動き出す。15年前に失踪した娘の足跡を追う男の前に、謎めいた訪問者が現れる。一つひとつの真実が明かされるたび、穏やかだった山間の生活は緊迫したサスペンスドラマへと変貌を遂げていく。
しかし本作の本質は、単なる謎解きにとどまらない。罪と許し、そして家族の絆の再生を問う重厚なヒューマンドラマとしての側面が、物語をどこまでも深く刻み込んでいく。沈黙と対話が織りなす圧倒的なドラマツルギーは、観客の心を捉えて放さない。