体験者のブログや告白手記を丹念に精査すると、美談の裏に隠されたピースボート後悔の理由が明確に浮かび上がってきます。最大の要因は、「高級ホテルのような優雅なクルーズ体験」を期待して申し込んでしまった層のミスマッチです。
日常的に発生する代表的な不満やクルーズ旅行トラブル注意点として、以下の4点が挙げられます。
第1に、寄港地での実質観光時間の短さです。船旅の性質上、寄港地での停泊は朝に入港し夕方には出港するパターンが多く、実質滞在時間は6〜8時間程度にとどまります。「世界遺産をじっくり巡りたい」と考えていても、入国審査や港への移動で大半の時間を消費し、主要スポットを駆け足で通過するだけで終わるケースが多発します。
第2に、オプショナルツアーへの依存と高額な追加出費です。治安に不安のある地域や言語の通じにくい国では個人行動が制限されるため、主催者側のツアーに参加せざるを得ません。これらを複数申し込むと総額が跳ね上がり、当初思い描いていた格安旅行の予算を大きくオーバーすることになります。
第3に、船内インフラの制約です。パシフィック・ワールド号は近代化されたとはいえ、洋上の衛星通信は陸上の光回線とは比較になりません。天候や海域によって通信が著しく遅延・切断されるため、航海中にリモートワークを完結させようと目論んでいたビジネス層が深刻な支障をきたす例が後を絶ちません。
第4に、地政学リスクや悪天候による航路変更です。近年のスエズ運河・紅海周辺の軍事衝突や、パナマ運河の渇水による通航制限など、世界情勢の変化によってピースボート世界一周航路日程が直前で大幅に変更される事態が起きています。楽しみにしていた寄港地が抜港(寄港中止)となっても、旅行業約款に基づき安全最優先で代替ルートへ迂回されるため、旅程の不確実性を受け入れる覚悟が不可欠です。