『ひまわりの約束』の発売日は2014年8月6日。日本中を涙で包んだ3DCGアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌として世に送り出されました。制作にあたり、八木竜一監督と山崎貴監督から秦基博へ提示されたオーダーは、「のび太とドラえもんの関係性を、観客自身の身近な大切な人との関係に重ね合わせられる楽曲にしてほしい」というものでした。
音楽プロデューサーや制作陣への取材記録によると、秦基博は提供された脚本や絵コンテを何度も読み込み、劇的な冒険譚ではなく「2人が過ごす何気ない日常の尊さ」に徹底して焦点を当てました。ドラえもんという絶対的な存在に対するのび太の甘えや感謝、そしていつか訪れるかもしれない別れへの予感。派手な言葉で飾るのではなく、誰もが胸の奥に抱えている「身近すぎて言葉にできなかった感謝」をアコースティックギターの柔らかなアルペジオに乗せて紡ぎ出したことが、劇場の観客のみならず老若男女の琴線に触れる最大の契機となったのです。
当時のインタビューで秦基博自身が「ドラえもん目線でもあり、のび太目線でもあり、聴く人それぞれの誰かに向けた手紙のような歌にしたかった」と語っている通り、特定のキャラクターソングに閉じ込めない抽象度の絶妙なバランスこそが、10余年を経ても風化しない叙情性を生み出しています。