1984年10月にTBS系列で放送が開始された大映ドラマ『スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜』。主演の山下真司が演じる熱血教師・滝沢賢治が、荒廃した川浜高校ラグビー部を率いて全国優勝を果たすまでの奇跡を描いたこの作品は、最高視聴率20%を超える社会現象を記録しました。そのドラマの象徴として視聴者の記憶に焼き付いたのが、麻倉未稀の歌う主題歌「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」でした。
芥川隆行による重厚なオープニングナレーション「この物語は、ある学園の荒廃から立ち直った軌跡を通じて、その原動力となった信頼と愛を、余すところなくドラマ化したものである…」という語りに続き、ドラムの連打とともに炸裂する麻倉未稀のボーカルは、まさに物語の情熱そのものを体現していました。
元々この楽曲の原曲は、ウェールズ出身のシンガーであるボニー・タイラー(Bonnie Tyler)が1984年公開の米映画『フットルース』の挿入歌として歌った「Holding Out for a Hero」です。作曲は『地獄のロック・ライダー』などで知られる稀代のメロディメーカー、ジム・スタインマンが手掛けました。当時のTBSプロデューサー陣と音楽制作チームは、ドラマが持つ圧倒的な熱量と疾走感を表現できる楽曲としてこの曲に白羽の矢を立て、卓越した歌唱力で注目されていた麻倉未稀に白羽の矢を立てたという経緯があります。
当時、すでに映画『フラッシュダンス』の主題歌日本語カバー「ホワット・ア・フィーリング 〜フラッシュダンス」をヒットさせていた麻倉未稀でしたが、この「ヒーロー」のレコーディングは過酷を極めました。打ち込みビートの激しいテンポの中で、原曲の持つダイナミックなスケール感を損なわずに日本語を乗せるため、スタジオでは息継ぎのタイミングすら極限まで削ぎ落とすボーカルディレクションが行われたと、当時の音楽スタッフは述懐しています。