腹腔鏡手術の神業を持つ若き第一外科準教授、財前五郎。その胸中に渦巻くのは、純粋な医療への情熱か、それとも名声への異常な執着か。岡田准一は、この歴史的ハマリ役に全身全霊で挑んだ。鋭利なナイフのような緊張感を崩さず、時に野心家としての冷酷さを暴き出し、時に圧倒的な孤独に打ちひしがれる姿を見事に表現してみせた。
従来の作品で描かれてきた財前像に、アクションで培った体幹のブレない立ち振る舞いと、腹の底から絞り出すような重厚なセリフ回しが加わった。まさに医療ドラマの常識を覆す人間臭いリアリティである。死の影が忍び寄る終盤で見せた、白衣に身を包んだ手の震えや眼光の翳りは、観る者の心臓を直接掴むかのような迫力に満ちていた。