『海は見ていた』に先駆け、遠野なぎこが映画界でその類まれな演技力を知らしめた決定打が、2001年公開の映画『日本の黒い夏─冤罪』への出演でした。
松本サリン事件を題材に、報道被害と冤罪の恐怖を鋭く告発した本作において、彼女は重厚な物語のキーパーソンとなる花沖美幸役を好演。中井貴一をはじめとする錚々たる名優たちに囲まれながらも、一切引けを取らない存在感と緊迫感あふれる演技を見せつけました。
この演技が高く評価され、遠野なぎこは第25回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。さらに日本映画批評家大賞新人賞も獲得するなど、同年代の若手女優の中でも突出した実力派としての地位を確立しました。この熊井啓監督との出会いと高い評価が、後の『海は見ていた』の主演抜擢へと直結することになります。