振り返れば、韓国における同賞の軌跡は極めて劇的だ。2000年、南北首脳会談を実現させアジアの民主化に生涯を捧げた金大中元大統領が平和賞を受賞した際、全土が歓喜に包まれた。しかし同時に、文化や学術の領域における「悲願の欠落」も長年指摘され続けていた。
国家主導の経済成長から文化発信へのシフト。その裏にあった苦闘と模索の年月が、今回の文学賞によってついに報われたと言えるだろう。政治的な象徴としての受賞から、個人の精神世界を拓く文学の受章へ。この四半世紀で韓国社会が遂げた成熟のプロセスが、鮮やかに浮かび上がる。