実写ドラマ『外道の歌』の最大の求心力は、カモ(鴨ノ目武)とトラ(島田虎信)を演じる主演2人の圧倒的な存在感です。表向きは寂れた古書店「カモメ古書店」を営みながら、裏では凄惨なリンチ殺人を代行するダークヒーローの二面性を、二大実力派俳優が見事に体現しています。
カモ役の窪塚洋介は、ボサボサの髪に無精髭、底知れぬ冷徹さを漂わせる佇まいで原作の不気味なカリスマ性を完璧にトレース。一方、トラ役の亀梨和也は、人情味と凶暴性を併せ持つ関西弁の武闘派ヤンキーとして、鍛え上げられた肉体による鋭いアクションを披露しています。白石晃士監督が「2人が並び立った瞬間に勝負は決まったと感じた」とインタビューで語った通り、陰と陽、静と動のコントラストが画面全体に凄まじい緊張感を生み出しています。
ドラマ版の相関図を紐解くと、物語の推進力となる重要キャラクターたちが緻密に配置されていることがわかります。凄惨な通り魔事件で家族を惨殺され、カモとトラに復讐を依頼したことをきっかけに古書店に身を寄せる女子大生・開成奈々子役には南沙良を抜擢。絶望の底から再生しようともがく被害者の痛みを繊細に演じ切っています。
さらに、裏社会を牛耳る冷酷なフィクサー・園田役を杉本哲太、残虐非道な快楽殺人鬼・長久保役を矢本悠馬、狂気を孕んだ刑事・鶴巻役を武田真治が演じるなど、実力派バイプレイヤーたちが脇を固め、善と悪の境界が崩壊していく混沌とした群像劇を成立させています。