広場恐怖症(Agoraphobia)は、しばしばパニック障害と混同されがちだが、臨床精神医学においては明確な区分が存在する。日本精神神経学会の指針によれば、パニック障害は予期せぬ強い不安や動悸、呼吸困難といった「パニック発作」そのものが主症状であるのに対し、広場恐怖症は「発作が起きた際にすぐに逃げ出せない場所」や「助けが得られない状況」に対する回避行動や激しい恐怖を指す。
具体的には、満員電車やエレベーター、映画館、あるいは広い広場や高速道路のドライブなどが恐怖の対象となる。厚生労働省の最新のメンタルヘルス統計でも、パニック障害の発症後に二次的に広場恐怖症を併発する事例が多く報告されている。精神医学の進歩に伴い、単なる「気の持ちよう」ではなく、脳内の神経伝達物質の不均衡や過度なストレス反応に起因することが明らかになってきた。