今日私たちが日常的に着用している羽毛アウターは、過酷な自然に挑んだ先人たちの命がけのドラマから誕生した。
1930年代半ば、アメリカの起業家エディー・バウアーは真冬の真鱈釣りで低体温症にかかり、辛うじて命拾いをした。この九死に一生を得た体験から、濡れたウールに代わる軽量で保温性に優れた衣類の必要性を痛感し、羽毛を格子状に縫い込むキルティング技術を発案。これが世界初のダウンジャケットの特許取得へとつながった。
時を同じくしてヨーロッパでは、フランスのルネ・ラミヨンが山岳労働者や登山家のために極寒に耐えるスリーピングバッグや防寒衣類を開発していた。彼の立ち上げたブランドこそが、のちにラグジュアリーな街着としても世界を席巻するモンクレールである。元々は作業員の身体を守る実用的なアウトドアウェアとして産声を上げたのだ。