キラキラネームが社会的なブームとして定着するまでの歩みを振り返ると、明確な変遷のグラデーションが存在します。その発端は1990年代半ば(1994年〜1995年頃)に遡ります。この時期、ベネッセコーポレーションが創刊した育児雑誌『たまごクラブ』『ひよこクラブ』が大ヒットを記録しました。同誌の名付け特集では、従来の「画数重視」「先祖代々の漢字の継承」から脱却し、「響きから考える名付け」「親の想いを自由に込める漢字選び」が積極的に提案され、若い親たちの価値観を大きく揺さぶりました。
その後、2000年代初頭にかけてインターネットの普及とともに、ネット掲示板「2ちゃんねる」などを中心に、常識外れな名前を揶揄する言葉として「DQNネーム(ドキュンネーム)」というスラングが誕生しました。この語源は、1994年から2002年までテレビ朝日系列で放送されていたバラエティ番組『目撃!ドキュン』に出演していた非常識な行動をとる一般人に由来しています。当時はネット空間での嘲笑の対象に過ぎませんでしたが、2000年代半ばには一般家庭へもこの名付けスタイルが急速に浸透していきました。
名付けブームが最大のピークを迎えた全盛期は2005年から2012年頃です。2010年前後からは民放の情報番組や大手新聞社が「キラキラネーム」というマイルドな呼称を使い始め、社会問題として大々的に特集を組むようになりました。J-POPの大ヒット曲が後押しした「ナンバーワンよりオンリーワン」という強烈な時代思潮が、他者と被らない唯一無二の名前を求める親の心理を決定的に加速させたのです。