「北野武」の名が世界的映画監督として昇華していく歴史の中でも、幹子氏の果たした役割は小さくない。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に輝いた『HANA-BI』、カンヌを沸かせた『Sonatine』、そして世界的なヒットを記録した『アウトレイジ』シリーズ。彼が日本映画界の常識を覆し続けた背後には、常に家庭という盤石な防波堤が存在していた。
狂気と静寂が同居する独特のバイオレンス美学。創作活動に没頭する監督が外部からのトラブルに煩わされぬよう、家庭の切り盛りからスキャンダル対応に至るまでを一手に担った。世界の「Takeshi Kitano」というブランドの基盤は、彼女の強靭な忍耐とマネジメント能力によって支えられていたと言える。