可愛らしい見た目で親しまれているコキア(ホウキギ)だが、その分類学的な歴史は古い。近代植物分類学の祖であるカール・フォン・リンネによって学名が整理された本種は、ヒユ科(旧アカザ科)に属する生命力豊かな一年草だ。和名が示す通り、古くは成熟した枝を乾燥させて束ね、ほうきとして生活の現場で重宝されてきた背景を持つ。
さらに興味深いのは、食材としての側面だ。秋に成熟する果実を加熱加工し、外皮を取り除いたものは「畑のキャビア」と称される名物料理とんぶりとなる。秋田県を中心とする和食文化において、プチプチとした独特の食感と豊かな風味が珍重されてきた。観賞用として愛でるだけでなく、伝統的な食文化にも深く根ざした多面的な魅力を備えている。