最終決戦における鬼舞辻無惨の攻撃は、これまでの鬼とは一線を画す凄まじさだった。無惨の触手から注入された毒は、触れた瞬間に細胞を破壊し、人間を即死に至らしめる。炭治郎が右目を侵され、激痛に耐えながら倒れ込んだシーンは、連載当時から多くの読者に衝撃を与えた。
鬼殺隊の仲間の命がけの試みによって抗毒血清が投与され、命こそ取り留めたものの、損壊した右目の組織が元に戻ることはなかった。のちに炭治郎が一時的に鬼化へと追い込まれた際、驚異的な再生能力によって右目の形状自体は戻ったかに見えたが、最終的に人間に戻った後も右目の視力が失われたままであったことが作中で示されている。代償のない勝利など存在しない——吾峠呼世晴が描く徹底したリアルさと残酷さが、この右目に凝縮されている。