1920年代半ば、当時研磨紙の製造会社だったスリーエム・カンパニーの若き技術者リチャード・ドリューは、ツートンカラーの自動車塗装現場を訪れていました。塗料の境目がにじみ、車体塗装職人たちが激しい苛立ちを募らせている光景を目の当たりにしたドリューは、塗料を遮断するマスキングテープの試作に取りかかります。これが歴史的なスコッチテープ開発プロジェクトの原点となりました。
当初、接着剤の経費を節約するためにテープの両端だけに糊を塗って試作品を現場に持ち込んだところ、職人から「スコッチ(ケチな奴)の会社に持って帰れ」と罵倒された逸話は有名です。しかしドリューは諦めませんでした。セロハンフィルムに天然ゴムと樹脂をブレンドした独自の無色透明な接着剤を塗布する技術を完成させ、1930年に世界初の透明粘着テープを市場へと送り出したのです。