衝撃的な事故死は、単なる交通事故の枠を超えて深刻な法廷闘争へと発展した。ポールの娘であるメドウ・ウォーカーは、ポルシェ社を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こす。
訴状の主張は明確だった。事故当時、車両には適切な事故回避システム(PSM)が搭載されておらず、衝突の瞬間、安全ベルトの構造的欠陥によってポールが車内に閉じ込められ、生きたまま火災に巻き込まれたというものだ。「車体構造の強度が不足していた」とする遺族側の主張に対し、メーカー側は真っ向から反論を展開した。
ポルシェ側は「該当車両は不適切な改造が施されており、過密なメンテナンス不足と無謀な運転が事故の唯一の原因」と位置づけた。長年にわたる攻防の末、2017年に和解が成立。和解の具体的条件は非公表とされたが、この裁判は超高級スポーツカーの安全性議論に一石を投じる結果となった。