かつて、スポーツ界では「ACTN3」と呼ばれる遺伝子が、速筋繊維の割合を決め、筋肉の発達を左右すると信じられてきた。いわゆる「スプリンター遺伝子」だ。しかし、東京のスポーツバイオサイエンス研究所が今年発表した共同研究は、その常識を覆した。
研究チームが注目したのは、筋肉の元となる「筋衛星細胞(サテライトセル)」の活性化率だ。遺伝的な要素は確かに存在する。だが、それ以上に日々の微細な「機械的張力(メカニカルテンション)」の与え方と、それに対する細胞の反応感度こそが、肉体改造の成否を分けていたのだ。つまり、遺伝子だけで全てが決まるわけではない。