思考スピードが速いことはビジネスにおける強力な武器ですが、当事者特有の苦悩も存在します。頭の回転が速い人が日常的に抱える「過剰な疲労感」の実態です。
情報感度が高く、常に脳内で多重シミュレーションを回している状態は、PCでいえば「常にCPU使用率が100%近くに張り付いている」のと同等です。脳科学の研究では、デフォルト・モード・ネットワーク(安静時脳活動)と実行機能ネットワークの切り替えがうまくいかず、就寝時まで思考の暴走が止まらないケースが指摘されています。
大手IT企業で新規事業開発を担う30代マネージャーの手記には、次のような生々しい告白が綴られています。
「会議中、参加者が何を言いたいのかが数秒で分かってしまい、議論の遅さに耐えるだけで凄まじいストレスを感じる。家に帰っても脳の興奮が冷めず、頭痛と不眠に悩まされていた。周囲からは『スマートで完璧な人』に見られていても、内面は常にガス欠寸前だった」
周囲とのスピード差によるイライラ、そして過剰な情報処理による神経疲弊――。思考の回転速度が速い人ほど、意識的に「脳のアイドリング状態」を作り、情報遮断を行うメンタルヘルス管理が極めて重要になります。