事件が起きた根本的な動機を読み解くには、単なる個人の資質だけでなく、韓国の夜間カルチャーと社会心理学的な歪みに目を向ける必要があります。犯罪心理学の専門家が指摘するのは、「過度な飲酒文化(カンジン文化の残滓)」と「拒絶に対する過剰なプライドの崩壊」の相互作用です。
韓国の夜間繁華街(弘大、建大、江南など)では、深夜から早朝にかけて「ポチャ(屋台居酒屋)」やクラブをハシゴし、高濃度の焼酎(ソジュ)を大量に摂取する行動様式が定着しています。理性が麻痺した状態で見知らぬ通行人に声をかけ、自尊心を傷つけられたと感じた瞬間に激昂する「突発性アンガーコントロール不全」が、暴行事件の典型的な引き金となっています。
さらに、法制度の側面も見逃せません。韓国刑法第260条(暴行罪)は、被害者の明示的な意思に反して公訴を提起できない「反意思不罰罪」に指定されています。これにより、加害者側が多額の示談金(合意金)を用意して示談を成立させれば刑事処罰を免れる、あるいは大幅に減刑される構造が存在します。この法慣行が、加害者側の「金で解決できる」という甘い認識を生み出す温床になっているとの批判も韓国内の法曹界から上がっています。