「きょうだい児(きょうだいじ)」とは、身体障害・知的障害・発達障害・精神疾患・慢性疾患などを抱える兄弟姉妹を持つ当事者を指す通称です。法律上の厳密な定義語ではありませんが、福祉・心理療法の現場や当事者コミュニティにおいて、共通の生育環境と心理的課題を共有する概念として定着しています。なお、成人した当事者を指して単に「きょうだい」と呼ぶケースも増えています。
きょうだい児の家庭環境では、医療的ケアや日常の見守りが必要な兄弟姉妹に対し、どうしても親の時間と意識が優先的に注がれます。その結果、健全な発達過程にあるもう一方の子どもは、家庭内で無意識に「後回し」にされる経験を積み重ねがちです。厚生労働省や福祉関連団体の実態調査でも、きょうだい児の多くが幼少期から家庭内の緊張感を敏感に察知し、親に負担をかけないよう振る舞っている実態が浮き彫りになっています。
このような生育過程で形成されやすいきょうだい児の特徴として、以下のような心理的傾向が挙げられます。
- 過度な自立と自己抑制:「お母さん・お父さんは大変だから迷惑をかけてはいけない」と我慢を重ね、甘えたい感情や弱音を封じ込める。
- 高い共感性と顔色をうかがう癖:家庭内の空気の乱れに過敏になり、周囲の期待に応える「手のかからない良い子」を無意識に演じ続ける。
- 根深い罪悪感:自分だけが健康で健常であることに対して後ろめたさを覚える「サバイバーズ・ギルト(生き残り罪悪感)」に苛まれる。