本作の最大の推進力となったのは、奇跡的とも言える豪華キャストの競演です。脚本を手掛けた遊川和彦とプロデューサーの八木康夫は、戦争の悲惨さを単なる悲劇として描くのではなく、「市井の人々の何気ない日常と笑顔がいかに尊いか」を際立たせるため、主人公・平山幸一役に明石家さんまを抜擢しました。
当時の制作発表やインタビューにおいて、明石家さんまは「普段人を笑わせることしか考えていない自分が、戦争ドラマで人を泣かせる役に挑むことへの凄まじいプレッシャーがあった」と述懐しています。しかし、完成した作品で見せた、どんな過酷な境遇でも周囲を和ませようとする父親の哀愁と底抜けの優しさは、演出の福澤克雄の手腕と相まって観る者の魂を激しく揺さぶりました。
平山家を支える妻・美知子役には黒木瞳が配され、気品と芯の強さを持つ母親像を好演。子どもたちには、長男・勇役に坂口憲二、長女・美枝役に上戸彩、次男・昇役に勝地涼と、当時の若手トップスターたちが顔を揃えました。さらに、勇の妻・紀代役に仲間由紀恵、冷徹な軍医でありながら人間性を捨てきれない中原軍曹役にオダギリジョー、そして友情出演として中井貴一や西村雅彦が脇を固めるという、現在では再現不可能な重厚な布陣が実現しています。