昭和から平成、そして令和へと続く日本のスポーツ史において、長嶋茂雄という存在はあまりにも巨大だった。「勝つこと」を宿命づけられた巨人の指揮官として、あるいは日本中の希望を一身に背負う国民的英雄として、彼は人生のすべてを野球に捧げてきた。だが、その代償を誰よりも肌で感じていたのは、紛れもなく家庭を守る妻と子どもたちだった。
父が常に世間の注視を浴びる特異な環境。自宅の前に詰めかける報道陣、勝敗によって一変する世間の空気。名門一家という重圧の中で育った4人の子どもたちは、偉大すぎる父親の背中を見上げながら、それぞれに自己のアイデンティティを模索する過酷な幼少期を過ごした。