美術デザインの卓越性も見逃せない。劇中に登場する食器類やインテリアは、単なる小道具の域を遥かに超え、それ自体が現代アートのインスタレーションのような緊張感を醸し出す。日常的で無機質な「皿」というオブジェクトが、ある瞬間に暴力的なメタファーへと変貌を遂げる様は圧巻だ。
ミニマリズムを極めた美術空間の中で、人間の肉体と陶器という異質な質感が衝突する。触れるだけで割れてしまいそうな陶器の脆さと、それを握りしめる人間の執着。視覚芸術としての完成度の高さが、観る者に生理的なざわめきを呼び起こし、物語の不気味さを何倍にも増幅させている。