本作の真骨頂は、伝統的な時代劇ミステリーと現代的な心理サスペンスドラマが見事に融合している点にある。静寂な寺院という閉ざされた空間で、一人また一人と闇に飲まれていく登場人物たち。誰が味方で誰が敵なのか、張り巡らされた嘘と真実の境界線が次第に曖昧になっていく演出は息をのむ美しさだ。
緻密に組み上げられた脚本は、観客の予想を何度も裏切る。登場人物たちの業や人間の闇を描き切る深い人間ドラマの側面も併せ持ち、単なる謎解きにとどまらない重厚な後味を残す。観る者を一瞬たりともスクリーンから目を離させないスリリングな仕上がりは、まさに新時代のエンターテインメントの到達点と言える。