あの夜、有明コロシアムで開催されたWBC世界フライ級タイトルマッチは、ボクシングファンのみならずお茶の間全体を巻き込む社会現象と化した。
TBSテレビ系列で全国中継された生放送は、平均視聴率40%超、瞬間最高視聴率50.6%という歴史的数字を記録。フライ級という軽量級の戦いがこれほどまでに一般層の関心を集めた例は、過去のプロボクシング史を見渡しても極めて稀である。メディアの煽り合いがエスカレートする中で、試合は「悪童対善人」という分かりやすい構図で消費され、選手にかかるストレスは限界を超えていたのだった。