神楽坂恵の女優キャリアにおいて最大の転機となったのが、鬼才・園子温監督との出会いでした。2010年公開の映画『冷たい熱帯魚』において、狂気に満ちた猟奇殺人犯の妻役を熱演。血とエロスが交錯する極限状態を見事に体現し、それまでのグラビアアイドルのイメージを完全に打ち破りました。
さらにその評価を決定づけたのが、翌2011年公開の映画『恋の罪』です。1990年代に起きた東電OL殺人事件に着想を得た本作で、彼女は抑圧された日常から夜の街へ堕ちていく平凡な主婦・菊池いずみ役を演じきりました。劇中で繰り広げられた壮絶な過激シーンや濡れ場の真相について、神楽坂自身も後に「精神的にも肉体的にも限界まで追い込まれた」と語るほど過酷な現場でした。恥じらいを捨て去り、人間の業と性をむき出しにした魂の演技は、第64回カンヌ国際映画祭の監督週間でも絶賛され、世界中の映画人からスタンディングオベーションを浴びました。