ペットショップや飼育書で広く案内されるセキセイインコの平均体重は、一般的に30〜40gとされています。性別による傾向として、メスは産卵のためのエネルギーを蓄える構造を持つため、オスよりもやや重い傾向が見られます。しかし、臨床現場に立つ獣医師の証言によると「40gだから一律に適正」「32gだから痩せている」と数字だけで短絡的に判断するのは危険です。
セキセイインコには生まれつきの骨格差が存在します。特に近年は大型の「ジャンボセキセイ(イングリッシュ・バジー)」の血を引く交配個体も増えており、そうした鳥では45〜50gであっても筋肉質で健康な体型である場合があります。逆に、小型の並セキセイでは35gでも皮下脂肪が過剰に蓄積しているケースが珍しくありません。
真の健康状態を測る指標が、胸の中央にある「竜骨突起(キールボーン)」とその周辺の筋肉の付き具合を指先で確認するボディコンディションスコア(BCS)です。羽毛をかき分けて胸を軽く触れた際、竜骨が包丁の刃のように鋭く触れる状態は明らかな削痩(痩せすぎ)であり、逆に骨の感触がまったく分からず弾力のある脂肪に覆われている状態は深刻な肥満と判定されます。
また、セキセイインコが一生のうちで最もダイナミックな変動を経験するのが「ヒナから成鳥までの体重推移」です。孵化直後はわずか2g前後のヒナが、さし餌を旺盛に食べる生後3〜4週齢のピーク時には40〜45gまで一時的に増加します。その後、一人餌への切り替え(ステップアップ)に伴い、飛翔訓練の開始とともに余分な水分と脂肪が落ち、生後2ヶ月前後でその個体のベースとなる30〜38g前後の成鳥体重へと落ち着いていきます。この移行期の体重減少は自然な現象ですが、適正範囲を割り込んで下がり続ける場合は感染症などのトラブルを疑わなければなりません。