名門・音羽屋の歴史を語る上で、人間国宝である父・七代目尾上菊五郎の存在を避けて通ることはできない。粋でいなせな江戸歌舞伎の神髄を体現し続ける父の背中を見つめ、弟である八代目尾上菊之助(現・菊之助)とともに育った環境は、寺島にとって至高の演劇学校であった。
菊五郎が守り抜いてきた至高の芸と、菊之助が推し進める古典の継承と革新。その強固な血脈の流れの中で、尾上眞秀という新たな枝葉が加わった意味は極めて大きい。名跡の重みと格式を重んじる松竹株式会社の制作陣にとっても、眞秀の存在は伝統の未来を拓く起爆剤となっている。音羽屋の芸の真髄を受け継ぎながら、従来の枠組みに囚われない自由な翼を持つ次世代の役者へ。血筋のバトンは、いま確実に新しい形へと進化を遂げている。