本作の真骨頂は、突拍子もない学園ファンタジーの枠組みを借りながら、描かれる感情のすべてが極めてリアルな青春ヒューマンドラマに根ざしている点にある。雨という不可抗力のトリガーによって外見が変容したとき、少年たちは自らの弱さや他者への偏見、そして秘めていた情愛と真正面から向き合うことを余儀なくされる。
教室の片隅、濡れたローファー、湿り気を帯びた空気。日常のディテールが積み重なることで、非日常のドラマが圧倒的なリアリティを帯びていく。身体の変化に戸惑いながらも互いを庇い合い、少しずつ大人への階段を上っていく彼らの姿は、世代や性別を問わず誰もが胸の奥に抱える「かつての自分」を激しく揺さぶるはずだ。