セルフケア情報が氾濫する中で、最も危険なのは「体操をすれば軟骨が元通りに再生する」という誤解です。現代の医学水準においても、一度完全に消失した硝子軟骨が自力運動のみで元通りの厚みに再生することはありません。ガッテン流体操の目的は、軟骨を復元することではなく、残された組織にかかるメカニカルストレスを正常化し、痛みのない機能的関節を取り戻すことにあります。
もう一つの重大な盲点が、「痛みを我慢して動かせば治る」という精神論的アプローチの危険性です。運動療法には明確な「適応期」と「禁忌期」が存在します。以下のような症状がある場合、体操は直ちに中断しなければなりません。
関節に手を当てて明らかな熱感があるとき、膝のお皿の周りがブヨブヨと腫れて水が溜まっているとき、そして夜寝ていてもズキズキと痛む「夜間痛」があるときは、関節包内で猛烈な滑膜炎が燃え盛っているサインです。このタイミングでお皿ストレッチやスクワットを行えば、火に油を注ぐ結果にしかなりません。急性期は医療機関での消炎鎮痛処置やアイシング、安静が最優先であり、体操を開始すべきなのは「熱感が引き、動き始めのこわばりや鈍痛が主症状の慢性期」に移行してからです。