飼い主が脱ぎ捨てた靴下に顔を寄せた直後、上唇をキュッと引き上げ、口を少し開けて茫然自失となったような顔をする。この一連の動作こそがフレーメン反応と呼ばれるものだ。
人間にとって足の臭いや汗の匂いは単なる不快臭に過ぎない。ところが、猫にとってはまったく異なる意味を持つ。人の汗や皮脂に含まれる脂肪酸や分泌物は、彼らにとって情報量の詰まった宝庫なのだ。口を開ける行為は、決して「臭い!」と嫌がっているわけではない。むしろ逆だ。匂いの微粒子を口の天井近くにある専用の受容部位へと効率よく送り込むため、あえて空気を引き込む隙間を作っているのである。
この時、猫の脳内では高密度のデータ解析が行われている。そのため外界への反応が一瞬おろそかになり、あの独特な「フリーズ状態」が生まれるのだ。