ミュージカル女優としての彼女の聖地、それは東京・有楽町にそびえ立つ帝国劇場だった。『マイ・フェア・レディ』のイライザ役は、彼女にとって長年の夢であり、自らの手で手に入れた至高の座だった。下積み時代からたゆまぬ努力を重ね、発声、立ち振る舞い、方言の訛りに至るまで、完璧を徹底的に追求した。
帝国劇場の重厚な幕が上がる瞬間、客席を包み込む独特の緊張感。その真ん中で堂々と歌い上げる姿は、観客だけでなく舞台袖で見守る共演者やスタッフの胸をも熱くさせた。自らを「舞台人」と称し、劇場の客席の隅々にまで届く声を磨き続けた生き様は、演劇界全体の財産として語り継がれている。