劇場へ足を運ぶ客足が完全に戻りつつある一方で、運営側のコスト圧力は過去最高水準に達している。館内の温調設備や高輝度プロジェクターを常時稼働させるための光熱費は、数年前と比較して劇的に跳ね上がった。アルバイトスタッフの最低賃金引き上げや物価高への手当対応など、労務コストの増加も経営を直接圧迫している。
イオンエンターテイメント株式会社の経営陣にとっても、チケット価格の引き上げは決して容易な選択ではなかった。しかし、単なるコストカットだけではスクリーンや音響設備の近代化を継続することが困難になっていた。イオンシネマが長年築いてきた「身近で高品質な映画鑑賞空間」を将来にわたって維持するためには、鑑賞料金そのものにコスト増加分を適正に反映せざるを得ない状況へと追い込まれていたのが実情だ。