韓国がノーベル賞取れない理由として、資金力の不足を挙げるのは正確ではありません。実際の統計を見ると、韓国の対GDP比の研究開発費(R&D)投資比率は約5%前後と世界トップクラスであり、OECD加盟国の中でも極めて高い水準を維持しています。
問題の本質は、巨額の資金がどこへ投じられているかという研究開発費と投資環境の構造にあります。韓国のR&D投資の大半は、半導体、二次電池、ディスプレイ、情報通信といった「応用研究・開発研究」に集中しています。これらは民間企業主導で短期間に製品化し、市場シェアを獲得するための「ファストフォロワー(素早い追従者)」戦略には最適でした。
しかし、ノーベル賞の対象となるようなブレイクスルーは、実用化の目処が立たない黎明期の基礎研究から生まれます。韓国の評価システムは、3〜5年の短いスパンで論文数や特許出願などの具体的数値を求める傾向が強く、失敗のリスクが高い独創的な研究テーマに腰を据えて取り組むことが極めて困難な環境となっていました。この「短期主義の罠」が、基礎科学の芽を摘んできた最大の要因と指摘されています。