スープの命となるのは、水田で獲れるサワガニ / 田蟹(Cua đồng)だ。生きたカニを殻ごとすり潰し、丁寧に濾して火にかけると、ふんわりとしたカニの身と卵の塊が雲のようにスープの表面に浮かび上がる。これが「リウ・クア(Riêu cua)」と呼ばれる旨味の結晶である。
そこにトマトの爽やかな酸味、発酵タマリンドのフルーティーなキレ、豚骨のどっしりとしたベースが重なり合う。具材のラインナップも豪華絢爛だ。豚ひき肉をロットの葉で巻いて香ばしく焼いた「チャーロット」、シャキシャキの空心菜、カリカリに揚げたエシャロット。ひとつの器の中で、食感と香りの饗宴が繰り広げられる。