社会構造の複雑化に伴い、日本人の睡眠を取り巻く環境は急速に変化している。厚生労働省が公表している健康調査のデータでも、成人の約半数が睡眠の質や時間に何らかの悩みを抱えている実態が浮き彫りとなった。深夜までスマートフォンの画面を眺め、Netflixなどで動画を連続視聴する生活習慣は、目から入るブルーライトと視覚的刺激によって脳を強く覚醒させる。
こうした現代特有のライフスタイルに対して、睡眠医学の現場からは警鐘が鳴らされている。スタンフォード大学の教授を務め、著書『スタンフォード式 最高 の 睡眠』でも知られる西野精治氏は、入眠直後の最初の90分間における深い睡眠の重要性を強調している。最初の睡眠周期で深睡眠を得られないと、いくら睡眠時間を確保しても疲労回復や脳の整理が行われない。
周囲が相手の不眠を単なる「夜更かし」と一蹴するのではなく、生物学的なメカニズムやデジタル社会特有の疲労から生じている現象だと正しく理解することが、共感的な接し方の基盤となる。