こうした現代的な女性像のグラデーションを見事に演じ分ける存在として、女優の松本まりかが魅せる演技には目を見張るものがある。彼女が演じるヒロインたちは、一見するとわがままで男を振り回す「手のかかる存在」に見えながらも、その奥底に愛らしさと切ない孤独を抱えている。軽妙なロマンティック・コメディの枠組みの中でも、彼女の可憐かつ鋭利な存在感が作品に深い奥行きを与えていく。
単なるコメディにとどまらず、人間の生々しい感情が交錯するヒューマンドラマにおいても、彼女の演技は強烈なリアリティを放つ。「お金がかかる」という表面的なラベルの裏側にある、傷つきやすさや真摯な情熱を巧みに描き出すことで、観客は登場人物の愚かさも含めて愛おしく感じてしまうのだ。フィクションでありながら、現代を生きる私たちが直視すべき人間心理の核心がそこに提示されている。