鍋の焦げ落としで最も失敗が多いのは、素材に合わない洗剤を使ってしまうケースです。変色や腐食を防ぐため、必ず手持ちの鍋の材質を確認してから作業を進めてください。
① ステンレス鍋の焦げ落とし
耐久性の高いステンレス鍋には、弱アルカリ性の重曹が最も効果を発揮します。焦げが浸る程度の水を鍋に入れ、重曹を大さじ2〜3杯投入してかき混ぜます。そのまま火にかけて沸騰させ、10分ほど弱火で煮立てた後、火を止めて完全に冷めるまで数時間放置してください。冷めていく過程で重曹水が焦げの深部まで浸透し、木べらや柔らかいスポンジで撫でるだけでシート状にペロッと剥がれます。
② ホーロー鍋の焦げ付き取り方
ル・クルーゼやストウブなどに代表されるホーロー鍋は、鉄や鋼の表面にガラス質を焼き付けた非常にデリケートな構造です。こちらも重曹が有効ですが、急激な温度変化(ヒートショック)によるガラス質のひび割れに細心の注意を払わなければなりません。必ず水の状態から重曹を入れて加熱し、冷ます際も流水を当てず自然放熱を待つのが鉄則です。
③ アルミ鍋の焦げ落としにはクエン酸
アルミ鍋に重曹を使うと、化学反応を起こして表面が真っ黒に変色(黒ずみ)してしまいます。アルミ鍋の焦げ落としには、酸性であるクエン酸やお酢を使用するのが正しい手順です。水1リットルに対してクエン酸小さじ2杯(またはお酢大さじ2〜3杯)を入れ、同様に沸騰させてから放置します。酸の力で焦げの結合が分解され、アルミの光沢を損なわずに綺麗に落とせます。
④ 土鍋の焦げ落としにおける重曹NGの理由
土鍋は表面に目に見えない無数の微細な気孔(穴)を持っています。土鍋の焦げ落としに重曹を使うと、アルカリ成分や独特の苦味成分が土の内部に染み込んでしまい、次回以降の料理に風味が移る恐れがあるため推奨されません。土鍋が焦げた場合は、お酢を混ぜた水で煮沸するか、たっぷりの水を入れて半日ほど天日干しし、乾燥によって焦げを浮き上がらせる伝統的な手法が安全です。