外壁を彩る深谷レンガの深い陰影は、かつて東京駅や旧東洋洋綿本社ビルを支えたこの街のアイデンティティそのものだ。しかし、この庁舎は過去の栄光を飾る博物館ではない。渋沢栄一が提唱した「公益と私益の調和(合本主義)」の精神が、空間設計の隅々にまで張り巡らされている。
1階フロアの中央を貫く「屋根付き広場」は、週末になると地元の有機野菜マルシェや高校生によるアコースティックライブのステージに早変わりする。行政エリアと商業・交流エリアの境界線をあえて曖昧にすることで、用事がなくてもふらりと立ち寄れる日常のサードプレイスとしての役割を確立させた。