「豚カシラを買ってみたが、硬くて噛み切れなかった」「少し独特の匂いが気になった」という失敗談は少なくありません。カシラは運動量の多い筋肉であり、筋膜や血管が存在するため、調理前のわずかなアプローチで劇的に仕上がりが変わります。
下処理のファーストステップは、豚カシラの下処理と臭み取りです。パックから出したカシラ肉の表面には、ドリップや微細な脂の酸化膜が付着しています。これを水でサッと洗い流した後、キッチンペーパーで水分を徹底的に拭き取ります。もし匂いに敏感な場合は、酒大さじ1と塩ひとつまみを揉み込んで5分置き、再度ペーパーで拭き取るだけで、特有の雑味は完全に消滅します。
続いて重要なのが、豚カシラを柔らかくする方法です。プロの現場で実践されている秘訣は以下の3点に集約されます。
- 格子状の隠し包丁(スジ切り):カシラには白く硬い筋膜が付着していることがあります。包丁の刃先を使い、肉の表面に深さ2〜3mm程度の切れ目を表裏に細かく入れることで、加熱時の肉の縮みと硬直を防ぎます。
- 繊維を断ち切るカッティング:一口大にカットする際、肉の繊維の走向を観察し、繊維に対して直角に刃を入れることが鉄則です。これにより、口に入れた瞬間の歯切れが驚くほど軽快になります。
- すりおろし玉ねぎ・塩麹のマリネ:プロの厨房でも重宝されるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の活用です。下味をつける段階で、すりおろした玉ねぎやりんご、または液体塩麹を少量揉み込んで20〜30分寝かせるだけで、硬い筋肉繊維が解け、ジューシーな食感へと変貌を遂げます。