この国の文化的な覚醒を象徴するのが、奇跡的な発展を遂げた映画産業だ。紛争直後の資金も機材も枯渇した状況下で、監督のダニス・タノヴィッチは衝撃作『ノー・マンズ・ランド』を生み出した。
敵味方の兵士が塹壕に取り残される不条理を描いた同作は、2001年のカンヌ国際映画祭で脚本賞、そして第74回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。皮肉と人間愛を交えた鋭い描写は、一躍世界中を震撼させた。タノヴィッチの偉業は、紛争のトラウマに苦しんでいた地元の若いクリエイターたちに「自分たちの物語は世界に通じる」という絶大な自信を与えた。