テクノロジーの急拡大に対し、法整備の足取りは極めて鈍い。デジタル空間内での財産権、肖像権、アバターに対する暴力やトラブルの取り締まりなど、現行法では想定しきれない事態が連日警察や消費者センターに寄せられている。特に問題視されているのは、未成年者の長時間利用と、空間内での意図的な行動誘導(ダークパターン)だ。
総務省の有識者会議では、利用時間の上限設定や年齢認証の厳格化が議論されているものの、グローバルに分散するサーバーと暗号化通信の壁が立ちはだかる。法学者の西村昌彦教授は「国家という概念そのものが、物理的境界を前提に作られている。ボーダレスな空間での出来事を誰がどう裁くのか、私たちは人類史上初の法秩序の再構築を迫られている」と語る。