「この資格を取らなければ来期の昇給はない」「全員合格が部署の必達目標だ」といった上司からの執拗なプレッシャーに悩む声が急増しています。本来、資格取得やリスキリングは労働者の自発的な意思に基づく自己啓発であるはずですが、現実の職場では事実上の強制命令として機能しているケースが目立ちます。
厚生労働省の指針において、優越的な関係を背景に業務上適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える行為はパワーハラスメントと定義されています。資格取得の強要がパワハラに該当するか否かの判断基準は、「業務上の必要性」と「労働者に課される負担の過度さ」のバランスにあります。職務に直接関係のない難関資格の取得を一方的に命じたり、達成不可能な期限を設定して連日叱責を繰り返したりする行為は、パワハラの典型例と言えます。
さらに、個人の適性や本来の業務量を無視した過剰なノルマ設定は、労働者を精神的な孤立へ追い込みます。「自己責任」という言葉で片付けられがちな資格ハラスメントですが、その背後には企業の管理責任逃れと労務管理の歪みが潜んでいます。