琉球の中継貿易の本質は、「ある地域で安く手に入る特産物を仕入れ、それを喉から手が出るほど欲しがっている別の地域へ高値で転売する」という極めて合理的なアービトラージ(裁定取引)にありました。
自国で生産できない超高級品を世界中から集め、自在に組み替えて再輸出するポートフォリオは以下のような構成でした。
▼ 琉球の中継貿易における主要品目一覧
【明(中国)から仕入れた品目】
・高級陶磁器(青磁・白磁):日本や東南アジアの貴族階級に大人気を博した。
・生糸・絹織物:日本の武士階級や富裕層向けの最高級衣料原料。
・銅銭(永楽通宝など):日本国内で通貨として流通。
・薬種・書籍:先進的な文化・医療物資。
【東南アジアから仕入れた品目】
・胡椒(コショウ)をはじめとする香辛料:肉の防腐や調味料として明や日本で高額取引。
・蘇木(そぼく):赤や紫を染める高級染料。明への朝貢品として不可欠。
・象牙・犀角・鼈甲(べっこう):装飾品や薬用としての高級素材。
・酒(泡盛のルーツとなった蒸留酒):アユタヤの「ラオ・ロン」などが技術移転。
【日本・朝鮮から仕入れた品目】
・日本刀・甲冑:明で美術品・実用品として絶大な人気を誇り、大量に朝貢・輸出。
・銀・銅・硫黄:明の通貨経済を支える貴金属と、火薬原料(硫黄は琉球・薩摩産)。
・扇子・屏風・蒔絵:中国皇帝や東南アジア王侯への贈答品。
自国の純粋な輸出品は、沖縄近海で採れる硫黄や馬、夜光貝などに限られていましたが、各国のニーズを完璧に把握した品揃えによって、琉球は莫大な仲介マージンを国庫に収め続けたのです。