判定をめぐる議論がここまで紛糾する最大の要因は、メディア環境の劇的な変化にある。現在、DAZNやパ・リーグTVといったデジタルプラットフォームでは、あらゆる角度から撮影されたスーパースロー映像が即座に配信される。投球の微妙な軌道変化や、ベース上での足とタッチの微細なタイムラグが、数百万人の画面上にくっきりと浮かび上がるのだ。
肉眼では補いきれない人間の知覚限界を、テクノロジーが容赦なく暴露する構造が出来上がった。視聴者は一瞬のコマ送り映像を根拠に「明らかな誤審だ」と判定を糾弾する。可視化された映像と人間の目視判定との乖離が、不信感を倍増させる負のループを生み出している。