一般の人々の間に根強く残る最大の誤解は、「自分はお酒を付き合い程度しか飲まないし、肝炎ウイルスの検査も陰性だったから肝臓がんとは無縁だ」という思い込みです。
現在、臨床現場で最も警鐘が鳴らされているのが、非B非C型(NBNC)と呼ばれるウイルスの関与しない肝がんであり、原発性肝がん全体に占める割合はすでに30%以上に達しています。その主たる温床が、糖質や脂質の過剰摂取、運動不足、インスリン抵抗性によって引き起こされる脂肪肝です。
痛覚神経を持たない肝臓は、静かに脂肪を蓄積し、やがて慢性的な酸化ストレスと微小炎症を引き起こします。肝機能数値(ALT等)が基準値の「軽度異常(40〜50 IU/L程度)」の範囲にとどまっていても、水面下で線維化が進行しているケースは珍しくありません。「お酒を飲まないから休肝日も不要、健康診断のC判定も放置」という油断こそが、予兆なき進行がんを招く最大の盲点です。