ネット上の掲示板やSNSでは、「うちのマンションだけグラグラ揺れている」「家族の中で自分しか気づいていない」といった相談が頻繁に寄せられています。物理的な要因がないにもかかわらず揺れを感じる背景には、人間の知覚認知や心理状態が深く関わっています。
医学的・生理学的に知られているのが「地震酔い(地震後めまい症候群)」や自律神経の乱れによる錯覚です。過去に大きな地震を経験した人や、疲労・ストレス・睡眠不足が蓄積している状態では、耳の奥にある前庭器官(三半規管など)が過敏になり、静止しているはずの身体が浮遊しているような感覚や揺らぎを脳が誤認してしまいます。
社会心理学の観点からは、「不安バイアスと確証バイアス」の働きが指摘されます。地震への潜在的な警戒心が高まっている時期は、机の軋みや大型車のわずかな振動といった日常の些細な刺激に対し、脳が「また地震が起きたのではないか」と過剰に意味付けを行ってしまいます。さらに、地震速報やX(旧Twitter)のリアルタイム検索で「揺れた?」と検索すると、同様の錯覚や局所的な振動を感じた他者の投稿が目に入り、「やはり地震だったのだ」と誤った確信を強めてしまう集団心理の増幅ループが生まれます。
【プロの結論】身体感覚だけに頼らず客観的な指標で切り分ける
「局所的な揺れで自宅だけが揺れているのか」「身体の錯覚なのか」を冷静に見極めるためには、主観的な体感から離れ、外部の物理現象をチェックする習慣が有効です。揺れを感じた際は、まずコップに注いだ水面の波立ちや、ペンダントライト・カーテンなどの吊り下げ物の動きを確認してください。人間が揺れを感じていても水面が一滴も揺れていなければ、内耳の疲労やめまいによる生理的反応である可能性が極めて高くなります。