いまSNSで拡散されるビジュアルの傾向には、明確な断絶がある。整った笑顔や誇示されたライフスタイルは急速に求心力を失った。代わりにタイムラインを支配しているのは、雨上がりのアスファルトに反射するテールランプ、早朝の誰もいない電車の座席、カーテン越しに差し込む淡い青色の光だ。
情報量が極限まで削ぎ落とされた空間。そこには押しつけがましいメッセージも、商品を売りつけようとする意図もない。視聴者はその空白に、自らの失われた記憶や言葉にできない感情を投影する。見る者を圧倒するのではなく、見る者の疲れた視線をそっと休ませる場所。それが、現代のスクリーンに求められる機能となった。