恋愛観の歴史を辿ると、エンターテインメント作品が提示してきた「理想の扱い」のイコノグラフィーが見えてくる。1990年代、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のタッチストーン・ピクチャーズが手掛けた名作映画『プリティ・ウーマン』は、現代版シンデレラストーリーの金字塔として世界中の人々に衝撃を与えた。豪華なドレス、洗練された高級ホテルでの振る舞いは、長らく「特別に扱われること」の代名詞であった。
だが、Netflixをはじめとするオンデマンド型配信サービスが主流となった現代、消費されるロマンスの物語は明らかに変化している。かつての定番だったロマンティック・コメディが描いた「華やかな物質的エスコート」から、日常の文脈でお互いの感情に寄り添う「精神的な伴走」へと、視聴者が共感するポイントがシフトしたのだ。