俳優としてのキャリアを積んできた和田にとって、最大の転機となったのがTBSテレビの日曜劇場枠で放送されたスポーツドラマ『陸王』への出演だ。老舗足袋業者と実業団陸上部を巡る熱い人間ドラマを描いた作品で、彼は実業団ダイワ食品陸上部のベテランランナー・平瀬孝夫役を熱演した。
劇中の平瀬は、怪我と年齢の限界に悩みながらも引退レースに全てを賭けるランナー。この役柄は、まさに和田正人自身の半生と衝撃的なまでにシンクロしていた。第一線を退く苦痛、走ることへの断ち切れぬ想い、そして仲間への感謝。画面上で見せた涙や迫真のラストラン、美しく無駄のないランニングフォームは、単なる演技の枠を超えていた。自らの実業団廃部の記憶と葛藤を役に投影させた渾身の表現は視聴者の感動を呼び、作品を大ヒットへ導く原動力となった。